映画感想コーナー(仮)『セッション』

  • 2017.01.09 Monday
  • 23:05

 さて、「映画の感想書いていくぜ!」と息巻いて二本目です。

 二日連続で書いてますが、当然ながらこのペースが維持できるはずはありません。

 休日だったから書けただけだと思います。

 

 昨日は一本目ということで、何となく自分の中ではそういうポジションとしてザ・無難な84ゴジラ(何をどう捉えて無難と言えるのかは自分でもよく分かりません)を書きましたが、ゴジラシリーズを二回連続で書くのもどうかと思うので、今回は全然違う映画です。

 

 デイミアン・チャゼル監督が『ラ・ラ・ランド』でゴールデングローブ監督賞を最年少受賞したというニュースがあったので、この監督の前作『セッション(2014年)』です。
 「前作」と書きましたが、そもそもデイミアン・チャゼルはまだ『ラ・ラ・ランド』とこの映画とあと一本しか監督してません。どんだけ才能あるんだこの人。

 

 舞台はアメリカの名門音楽学校、バディ・リッチみたいな偉大なドラマーになってやるぜ!」と鼻息荒く進学した主人公のニーマン君は、学校の中でも超有名な指揮者であるフレッチャー先生(演じるのはJ・K・シモンズ)に「キミいい感じだね、うちのクラス来なよ」と誘われます。
 「よっしゃ! フレッチャー先生に認められた! 俺のドラム人生始まったぜ!!」とテンションアゲ↑アゲ↑になったニーマン君はフレッチャー先生のクラスに行き、周りのクラスメイトの緊張をちょっと疑問に感じつつも「フレッチャー先生も音楽を楽しめって言ってたし、厳しそうに見えるけど僕には優しくしてくれたし! 楽しい音楽の時間だぜ!」とばかりノリノリにドラムを叩き始めます。

 

ニーマン君「〜♪(ノリノリ)」
フレッチャー先生「ストップ! ちょっと早かったね、もう一回」
ニーマン君「はい、分かりました! 〜♪」
フレッチャー先生「ちょっと遅かったかな? 焦らずもう一回やってみて」
ニーマン君「はい先生! 〜♪」
フレッチャー先生「走ってんのかのたくってんのかどっちやねん! ANSER!!!」

 

 実はフレッチャー先生、超が付くほどのスパルタ完璧主義教師でした。シンバルを投げつけ、差別的なことをガンガン言いながらニーマン君をボロクソに貶し、「なんてこった! こんなクソ野郎をうちの学校は入学させたのか!?」とかマジギレし始めます。勃起したチンコみたいな頭(パンフレットの解説にそう書いてある)を真っ赤にしてキレてくるフレッチャー先生。超怖い。
 この後、物語はフレッチャー先生の教育的指導と、ニーマン君の頑張りを軸にお話が進みます。このニーマン君の頑張りというのがミソで、文字通り血の滲むような特訓をして彼は「偉大なドラマー」になろうとします。そして紆余曲折(という言葉で略していいのかも分からないレベルの紆余曲折)があって、ニーマン君はフレッチャー先生の指揮するバンドで音楽祭のステージに立つのですが……。

 

 映画自体は前述の通り音楽映画なのですが、この「超絶頑張って偉大な人になろうとする」という人、あなたの周りにもいませんか? あるいは映画に限らずマンガでもアニメでもドラマでもいいのですが、「超絶頑張ったことで結果を出した人の話」って見たことありませんか?
 この映画、この「超絶頑張って結果を出す」ということに対して、常に一歩引いて冷たい視線を投げかけてるのも面白さのひとつです。
 確かにニーマン君はフレッチャー先生の指導の元、超絶頑張って結果を出します。音楽家の家系でもなく、飛び抜けた才能があるわけでもないのに(暗譜の能力はありますが)、努力だけで結果を出す。普通の映画なら「色々あったけど、スゴいなお前!」となるハッピーエンドです。でもこの映画を見てると、全然そんな気分になれない。「えっ……お前どこ行っちゃってんの……怖……」ってなる(クライマックスで息子の演奏を見てるお父さんの顔が全てを物語っている)。「超頑張って成果出す=良いこと」という方程式を怒涛の勢いで破壊してきて、でもこの演奏はやっぱり超スゴいしアガるし……と、相反する二つの感情に引き裂かれそうになる映画です。
 この映画、特に音楽関係者からは「誇張が過ぎるんじゃないか」という声もありました。僕自身は大学で吹奏楽部に入っていて、ニーマン君と同じドラムもやってたのですが「仲良く楽しくやろうぜ」的な部活でやってたに過ぎないので、この映画のノリがどこまで正確なのかは分かりません。ただ、専門的なことは抜きにしても、「超絶頑張って成果出す」ことを良しとする考え方はどこの世界でもあると思うので、そういう寓話として受け止めればものすごく普遍性のある話だと思います。

 

 余談ですが、僕は大根仁監督の『バクマン。』を観た時、面白いと思いつつもクライマックスにちょっとノリきれないところがあって、何故かと言えばこの『セッション』を先に見てたからとしか言えません。「体を壊しながらも超絶頑張って成果を出した」佐藤健はこれでいいのか? っていう……(この辺り、同じ年に公開してたアニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』とは問題解決の流れが対照的だな、と思ったり。三本とも方向性がそれぞれ全然違うので、比べるのがそもそも間違ってるとは思いますが)。

 あと、よく言われることですがこの映画のフレッチャー先生と『フルメタル・ジャケット』のハートマン軍曹を比較しながら楽しむのも一興。どっちも超絶怖い指導役なのは間違いないのですが、フレッチャー先生はなまじ人間味があるように見える(というか実際あるんでしょう、私怨丸出しのアレとか踏まえると)分、フレッチャー先生の方がより悪質で、しかも僕らの周りにいそうなタイプの人間なんですよね。
 J・K・シモンズ、Good job.(そしてシンバルを投げつけられる)

 

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